国際人道システム

近年国際人道支援に関わるアクターの数が増加し多様化する中、国際人道コミュニティ全体としての対応力が問われています。主要な人道アクターとしては政府(中央・地方)、国連機関、赤十字、国際/国内NGO、ボランティア、軍事組織、民間企業、メディア、そして被災者を含む一般市民等が含まれます。特に国連人道機関の中には、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)、世界食糧計画(WFP)等が活動しています。

このように多くのアクターが関わり、その相互の関係が複雑化する中、人道支援の実施には共通のアプローチとして人道原則が貫かれる必要があります。またそのインパクトはコーディネーション-すなわち調整や連携-が確保された場合に最も効果的となります。こうしたビジョンを実現すべく、国連システムとそのパートナーはより有効な国際人道システムの構築に長く取り組んできました。(これまでのOCHAの歩みについて-英語>>)
 
特に、国連人道問題調整事務所(Office for the Coordination of Humanitarian Affairs:OCHA/オチャ)は、国連事務局の一部門として1991年に採択された国連総会決議46/182に基づいて設立されました。そのトップは人道問題担当国連事務次長(Under-Secretary-General for Humanitarian Affairs)です。OCHA自体が支援物資を配布したり、直接医療サービス等を提供することはありませんが、現地での業務調整、資金動員、情報管理、啓発・理解促進、政策形成の5つの機能を果たしています。より具体的には、ニーズアセスメントの実施や支援の優先順位付けをすすめ、またこうした情報をを明確で戦略的な計画に落とし込み、資金の用途を明らかにしています。加えて意思決定に必要な最大限の情報を関係者に提供し、深刻な人道状況を世界に訴えます。さらには緊急対応に必要な人道支援資金のための基金を運営したり、国際人道問題に関する政策形成に携わっています。
 
そして、1992年には機関間常設委員会(Inter-Agency Standing Committee: IASC)が設立されました。IASCは国連人道機関やNGOパートナー、国際赤十字社などが関わるコーディネーション、政策協議、意思決定のための主要なグローバルフォーラムです。IASCの事務局はOCHAに設置されています。
 
このIASCは主に2004年インド洋津波の教訓を踏まえ、人道支援改革(Humanitarian Reform)を始めました。これにより、国連人道機関とNGOからなる人道カントリーチーム(Humanitarian Country Team)という枠組みが国レベルで設置されることとなりました。また、当該国で活動する国連機関のうち最もシニアな国連職員である人道調整官(Humanitarian Coordinator)が人道カントリーチームを指導し、クラスターアプローチと呼ばれる、専門分野毎の調整メカニズムを導入することになりました。こうした枠組みの中で、OCHAの役割は人道調整官のリーダーシップを効果的にサポートし、人道カントリーチームやクラスターアプローチが全体としてうまく機能するよう様々な働きかけをする、いわば「縁の下の力持ち」役を担っています。これに加えて、人道支援改革ではOCHAが管理する国連人道基金(CERF)の強化、そして国連人道機関とNGOもしくはドナーとのパートナーシップに関する原則も合意されました。
 
  
 

クラスターアプローチ:

クラスターアプローチは、分野毎のニーズ調査、優先順位付け、対応計画作成等を各クラスターのリード機関が中心となって取りまとめ、その責任を明確にするとともに、支援の届かないギャップや重複を避けることを目的としています。クラスターアプローチは国毎に導入され、クラスターリード機関も国毎の事情に従って柔軟に定められることとなります。ちなみにグローバルレベルでのクラスターおよびリード機関は、以下の図のとおりです。