シリア危機:緊急援助調整官が安保理に行動を求める

2013年4月18日、人道問題担当国連事務次長 兼 緊急援助調整官を務めるヴァレリー・エイモスが、シリアで起こっている紛争に対して、政治的解決法を即座に見出すよう国連安全保障理事会に要請しました。このままではこの国が本当に取り返しのつかないことになってしまうと警告しています。
 
ニューヨーク国連本部で開かれた安保理会合で「現在のシリアは人道面でも破滅的な状況にあり、戦闘を終結できないことで一般人らがその重い代償を払わされています。」とエイモス緊急援助調整官は語りました。国連は、680万人もの人々が人道支援を必要とし、その内425万人がシリア国内で避難生活を送っていると発表しています。そしてさらに130万人もの難民が、シリアから周辺国に逃れています。
 
主たるインフラも破壊されました。国連の調査報告書によれば、いくつかの都市がほとんど瓦礫の山と化し、大規模な停電により数え切れない地域で給水が遮断されています。シリア全土でほぼ3分の1にあたる住宅が破壊され、もしくは被害を受けています。しかしエイモス緊急援助調整官はこうした数字をもってしても、3年目に突入してしまったこの紛争の本当の恐ろしさを伝えることはできないと説明しています。
 
「私たちの説明だけでは、現地の人々が毎日直面する本当の恐怖といったものを伝えきることはできません。家族が中に残されたまま家を焼かれてしまった、あるいはパンの配給を求めて行列に並んでいるところに爆撃があって人が亡くなったなどの証言がなされています。これが今のシリアの現実です。」
 
エイモス緊急援助調整官は、特に反政府勢力支配地域への人道アクセスが引き続き困難で、これに手続き面での障壁が新たに導入されたことでさらに状況が悪化していると指摘しています。2月と3月には、シリア赤新月社が、戦闘ラインを超えて活動をするのを停止するという決定をシリア政府が下したため、ホムスという街に住む27万6,000人もの人々が人道支援を受けられない状態に陥っています。またエイモス緊急援助調整官は、援助物資を運ぶ全ての車両に対し、政府が設置したチェックポイントを通過する際には許可証を携帯することを新たにシリア当局が義務付けましたが、その許可証の発行には関係大臣2名による署名が必要となっていることも安保理に報告しました。
 
「私は安保理に対し、ひとつの車列がダマスカスからアレッポに行くために50ものチェックポイントを通過しなければならないことを伝えました。こうした要求を受け入れることはとても不可能だということがお解りいただけるでしょう。これでは本来の仕事ができません。」
 
こうした様々な困難にもかかわらず、国連機関とその人道パートナー団体は、何百万人もの人々に貴重な支援を届けることができました。国連児童基金(UNICEF)とそのパートナーのおかげで、500万人以上もの人々が安全な水にアクセスすることができ、これから数ヶ月でさらに500万人の人々に同様の支援が届くはずです。また世界保健機関(WHO)とそのパートナーの支援により、約270万人もの人々が基礎的保健サービスを受けています。3月には200万人もの人々が世界食糧計画(WFP)から食糧支援を受けましたが、これは配給を受けられる人々の数が前月に比べて30万人増加したことになります。
 
また今週、クウェート政府が3億ドルもの資金をシリアのための国連人道アピールに拠出したというニュースで、現地の努力は活気づきました。こうした巨額の資金投入にもかかわらず、今年6月までのシリアに関する人道ニーズを満たすのに必要な150万ドルのうち、その半分しかまだ集まっていません。
 
「シリアの深刻な現状をこれ以上どの様に表現すればよいのでしょうか。シリアの人々に『なぜ世界はシリアの人たちを見放したのか』と問われるのですが、私には答えが見つかりません。」
 
エイモス緊急援助調整官は最後にこう締めくくっています。
 
「シリアの人々、そしてこうした人々を助けようとしている全ての人々を代表し、私からこの安保理への強い要請です。私たちは希望を失いつつあります。私たちの任務も適切に果たすことができないのです。この残酷な紛争を終わらせるために必要な行動をとって頂けるよう、安保理の力を頼りとしています。」
 
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