シリア危機:OCHA業務局長が人道アクセスを訴える

OCHAのジョン・ギング業務局長は、シリアにおける人道支援活動がすでにかなりの制約を受けているにもかかわらず、政府当局が更にこれを意識的に阻害していると指摘し、シリア危機の政治的な解決を緊急に実現するよう国際社会に対して重ねて訴えました。

内戦で荒廃したシリアから今週帰国したギング氏はニューヨークで記者会見し、反政府勢力が掌握する地域へ国連機関が隣国を経由して立ち入ることをシリア政府が拒み、代わりに危険な戦闘ラインを超えて入るよう求めたことを非難し、「戦闘ラインは超えてもよいが、国境はだめというのは論理的根拠がない」と訴え、さらにこう付け加えました。「しかし支援が滞った結果、人々が今も次々と亡くなっている。」

ギング氏はまた、人道援助機関にとって反政府勢力が掌握するアレッポに立ち入ることがいかに困難であるかを説明しました。アレッポはトルコとの国境から車ですぐの場所にありますが、人道援助機関は首都ダマスカスから政府側と反政府側双方のチェックポイントが点在しているルートを通ってアレッポに入ることしか認められていないのです。

「アレッポが必要としている支援物資の量に鑑みれば、毎日54箇所もあるチェックポイントでいちいち交渉するなどと言うのはありえないことだ。しかし車でわずか1時間の距離にあるトルコとの国境を超えてアレッポ入りできれば、効率的かつ効果的に支援物資を届けることが出来る。」

ギング氏によれば、アレッポの街は分断され、荒廃が進んでいます。政府側が掌握している地域は深刻な被害を蒙りながらも、水や電力、基本的な生活物資がある程度は供給されています。しかし、反政府勢力が支配する地域では、状況はより劣悪です。

「反政府勢力が支配する地域に立ち入った時の光景に、即座に衝撃を受けた。通りにはゴミがあふれ、公衆衛生上の問題がいつ発生してもおかしくない状況だった。電力供給もなく、通信網も完全に遮断されていて、水も5日に1度しか供給されていなかった。」

ギング氏は滞在中、リーシュマニア症の患者も何人か目にしました。(注:写真の少年) 世界保健機関(WHO)によるとリーシュマニア症は、アレッポやハマー、アル・ハサカやデイル・エズ・ゾールなどの街で、ここ数週間にかなりの広がりをみせているようです。リーシュマニア症は衛生状態の悪化と関係があり、サシチョウバエ類が媒介する病気で、感染すれば生涯皮膚に瘢痕を残すこともあります。

シリアは残忍な内戦に突入して3年目となり、ギング氏の訪問も業務局長となってこれが二度目です。国連と人道パートナー機関によれば、現在680万人が人道援助を必要とし、更に130万人が難民として国外に逃れ、その数は一日に約8,000人ずつ増えていると見られています。

国連の人道問題トップ、ヴァレリー・エイモスは4月18日、このまま何もしなければシリアは決して後戻りの出来ない深刻な事態に陥る恐れがあると国連安全保障理事会に警告し、この危機に即時の政治的な解決を見つけ出すよう訴えました。ギング氏もその思いを同じくしています。

「今のシリアは何十年も前に時計を戻されたようになってしまったが、こうしたことは直ちに止めなければならない。」と彼は語りました。「我々はこの国で起こっている戦慄すべき現実を言葉を尽くして伝えてきたが、それでも戦闘が今も続いている。」

原文記事(英語)>>
ギング業務局長がアレッポを訪問した際のビデオ(英語)>>
先頃国連人道機関のトップが発表した統一ビデオメッセージ(日本語字幕付)>>