国連人道基金(CERF):5つのポイント

この度、OCHAは中央緊急対応基金(CERF: The Central Emergency Relief Fund)の2012年度年次報告書を発行しました。これまで世界87カ国向けに30億ドル近くを提供してきたCERF。その成果と課題を紹介したOCHA本部ウェブストーリーの和訳を作成しました。

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中央緊急対応基金:昨年度年次報告書から見えてくる5つのポイント

CERF: Five things to know about the Fund in 2012

国連の中央緊急対応基金(Central Emergency Response Fund: CERF)が2012年度の年次報告書を発行しました。国連総会によって2006年に設立されたこの基金は、自然災害や紛争などの人的災害によって被災した人々に対し、国連機関とそのパートナーがタイムリーで公平、かつ出来るだけ予期できるかたちで人道支援を届けるためのものです。

設立以来CERFは世界の87の国と地域で30億ドル近くを提供し、紛争や自然災害、その他の危機的状況下で被災した人々を支援してきました。以下は2012年度年次報告書の要点です。

1.2012年はCERFにっての記録的な年

「2012年はCERFにとっての記録的な年だった。」報告書の冒頭、ヴァレリー・エイモス人道問題担当国連事務次長は、こう述べています。CERFに対する資金要請数が過去最多だったほか、実際の支援額も総額4億8,500万ドルと過去最高を記録し、計49の国と地域における546件のプロジェクトに対して資金提供がなされました。

世界中のほぼ全ての大規模緊急支援の現場で、CERFはなくてはならないものでした。数百万ドル規模の資金を複数回提供したシリア内戦による避難民支援から、31万2,000ドルを提供したガーナのコレラ対策まで、CERFは様々な規模の活動を資金面で支えました。

2.増え続けるCERFへのニーズ

災害や危機の直後、あるいはすでに起こっている人道状況がさらに急激に悪化した場合に、資金を提供するのがCERFの役割の1つです。その総額は2012年、44カ国向け3億2,700万ドルに及びました。

国連機関と国際移住機関(IOM)は、CERFによる迅速な資金提供のおかげで、シリア、南スーダン、ニジェール、イエメン、レソト等で発生した人道危機に素早く対応することができました。レソトは南部アフリカに位置する小さな国ですが、620万ドルの資金提供によって、食糧危機にさらされている何万もの人々に緊急支援や保健医療サービスが提供されました。

3.忘れられた危機への対応

CERFはまた、注目されない、あるいはされそうにない危機に際して、被災した人々がその生存に不可欠なニーズを満たすための資金を提供する役割も担っています。このため2012年、1億5,800万ドルが21カ国で提供されました。このうち1億400万ドルが、各支援機関が支援計画を作成しやすいよう年度始めに分配されています。

「必ずしも報道されないものの、世界の各地では何百万もの人々が支援を必要としている。」とヴァレリー・エイモス氏は述べ、最も忘れられた13カ国の危機に対して1億400万ドルを提供する際、こう言及しました。「このような資金提供こそが、人々のいのちを救う手助けとなるのです。」

こうした枠組みを通じた資金提供により、例えばハイチのポルトー・プランスでは国連児童基金(UNICEF)とIOMによって汚水処理施設が修理され、人々をコレラ感染から守ることが出来ました。

4.幅広い人道危機に対応するCERF

2012年、CERFからの資金提供の40%以上が紛争や武力衝突によって家を追われた人々の支援に割り当てられました (マリ、南スーダン、シリア、ミャンマー等)。これは、この年の世界の人道状況を見れば、残念ながら十分に予想できたことでしょう。

同じく資金提供の4分の1近く、約1億1,500万ドルが食糧支援に充てられています。驚くまでもなく、全ての人道支援機関の中で一番多額の資金提供を受けたのは、またも世界食糧計画(WFP)でした。

また総額7,800万ドルが感染症対策に割り当てられました。その中には、スーダンで過去20年間で最悪の事態となった黄熱病対策として国連機関やIOMに提供された250万ドルや、コンゴ民主主義共和国でのエボラ出血熱対策を支えた75万ドルなどが含まれています。

5.ドナー側と受益側の間の薄れゆく境界

2012年には、67の国々と幾つかの民間企業や地域機構、そして何十人もの個人が4億2,700万ドル以上をCERFに拠出しました。CERFは設立以来、193の国連加盟国中125カ国から支援されてきたほか、このうち41ヶ国はドナーであると同時に受益側も経験しています。

しかし...2012年に達成された支援額の記録は、直ぐに塗り替えられてしまうかもしれません。

2013年の最初の5ヶ月間で、緊急期及び資金不足の危機への対応としてCERFはすでに1億7,000万ドルを提供しました。他方ドナーは今年1月、CERFに対して合計3億8,400万ドルの支援を表明し、これは昨年の拠出ペースを上回っています。

OCHA本部ウェブストーリー(英語)>>
2012年度のCERF活用状況を紹介している日本語字幕付きビデオ>>
CERF及びその他の資金手当てのためのツールについて>>