OCHA 新レポート「今日、そして明日のいのちを救うために」

今日、そして明日のいのちを救うために-人道危機のリスク管理

 
2014年3月31日、OCHAは「今日、そして明日のいのちを救うために-人道危機のリスク管理」(Saving Lives Today and Tomorrow: Managing the Risk of Humanitarian Crisis)と題した報告書をニューヨークで発表し、人道支援と開発援助支援のあり方について抜本的な変化が必要であると訴えました。
 
この報告書は、人道危機が発生した際、従来のように受動的に対応するというのではなく、リスク管理を効果的に行うことでそうした危機的状況が生じるのを事前に予測、あるいは予防するという、より能動的なアプローチへの転換を、支援機関やドナーに対して求めています。
 
この報告書は、新たな事実やトレンド、さらにはそれらに関する分析結果を提示することで、人道システムが今まさに岐路に立たされているという問題提起を行っています。水資源不足や気候変動、人口増加や急速な都市化など、新たな世界的課題がいくつも組み合わさることによって、危機的状況はより複合的になり、またそうしたリスクも増大しています。そしてその結果、これまでにないほど多くの支援や資金が求められるようになったのです。
 
従って、リスク緩和や危機管理に対してより多くの投資を行う必要があるとこの報告書は論じています。既存のシステムは、こうした分野に投資を向けるための十分な仕組みを備えていないのです。
 
この問題を打破するため、人道支援や開発分野、そして政府関係者は力をあわせて、リスクを特定し、それぞれの支援計画サイクルを調和し、援助効果を高め、被害を蒙った人々のレジリエンスを強化し、可能な限り災害を未然に防ぐよう取り組まなければなりません。
 

主なポイント

1.災害リスク軽減に投じられる資金が少なすぎる。2004年から2013年の間、人道危機の頻度と深刻度が増したことで、人道支援機関全体が年間に要請するいわゆる人道アピールの総額が430%も増加。他方、1991年から2010年の間、災害予防のために割り当てられた金額は、国際支援全体の0.5%にすぎない。
 
2.リスク管理と予防は、事後対応よりも費用対効果が高い。ケニアとエチオピアで実施された研究によれば、干ばつに備えるための支援活動を出来るだけ早期に行った方が、実際に旱ばつが発生した後に緊急支援を行った場合の3倍も費用対効果が高かった。また世界銀行によればこうした投資の節約効果が4倍から36倍にも上るとの報告も複数ある。
 
3.人道支援に携わるリーダーや組織が、それぞれの意思決定のためにリスク分析を用いることが十分出来ていない。情報はあってもそれが行動に結びつかないのは、資金手当てに関する構造的問題が根底にあってそうさせている場合もあるが、制度的な障害が原因の場合もある。たとえば2010年の10月から2012年の4月までの間、ソマリアではタイムリーかつ正確な早期警報が発令されていたにもかかわらず、干ばつと食糧不足で25万8, 000人もの命が失われてしまった。
 

なぜ、今この報告書が?

事後対応から予防に転換していくということは、さまざまなレベルで政治的な課題を突きつけることになります。たとえば、危機に直面する国々の政治にも、支援機関間や組織内部の力関係にも、そして各国ドナーの政策にも影響を及ぼします。転換を実現させる道は、複雑で困難なものになるに違いありません。
 
しかし機は熟しています。世界はポスト2015年の新しい世界的な開発枠組みの策定に向けた準備を進めています。そこでは、貧困削減と持続可能な発展への取り組みが密接に統合されるよう求められるでしょう。また同じく2015年に、各国政府は災害リスク軽減に関する兵庫行動枠組みに代わるものに合意をすることを目指しています。そして2016年には、史上初の世界人道サミットで国際社会が一同に会し、人道危機のリスク管理がトップ議題のの一つとして取り上げられる予定です。
 
OCHA本部原文(英語)>>